2018年3月1日

校長Blog ☆北稜NOW☆ 第15号

【第12回卒業証書授与式】
春の嵐は開式前に通過し、素晴らしい天気に恵まれ、厳粛な中にも感動的な卒業式を無事執り行うことができました。

今年は、地元自治体や企業の関係者に加え、校歌の作詞者鈴木志ぐれ先生と作曲者小佐野圭先生が来賓としてご臨席くださいました。更に、小佐野先生は式中の校歌斉唱時に指揮をしてくださり、音楽非常勤講師布施先生のピアノ伴奏に合わせ、生徒達も気持ちよさそうに校歌を歌っていました。本校創設時に校歌作成に携わった私としては、14年前が思い出され、目頭が熱くなってしまいました。手前味噌ですが、過去最高の校歌斉唱でした。先生方、また、卒業生と在校生の皆さん、本当に素晴らしい卒業式をありがとうございました。
なお、卒業生からは記念品として校訓ボードと掲示板を頂きました。ご披露いたします。

 

<式辞>
日本語の「春」という言葉は、草木の芽が張り出すことから生まれたという説があります。一方、英語の「spring」には、飛び跳ねるや生れ出るなどの意味もあります。このように洋の東西を問わず、春という季節を表す言葉に、生命の躍動感を象徴させていることは、ヒトが持つ感性は、人種により異なることがなく、ヒトとして本質的な能力であることを教えています。

生命躍動の兆しが感じられるようになったこの佳き日に、山梨県議会議員 渡辺淳也 様をはじめ、地元の自治体や企業など多くのご来賓の皆様、また大勢の保護者の皆様のご臨席を賜り、ここに、平成二十九年度 山梨県立富士北稜高等学校 第十二回卒業証書授与式が挙行できますことを、高い席からではありますが、心より厚くお礼申し上げます。
保護者の皆様には、長い間本校の学校運営にご理解をいただき、ご協力を賜りましたことに深く感謝申し上げます。ありがとうございました。また、こうして卒業という慶びの日を迎えられましたことは、感慨も一入のこととご推察申しあげます。
さて、ただ今、総合学科の全課程を修了した二四五名に卒業証書を手渡しました。皆さん卒業おめでとうございます。今、皆さんの頭の中はあふれ出てくる高校時代の思い出で一杯だと思いますが、私が昨年の夏休み前の全校集会で、サッカーの本田圭佑選手の話をしたことを覚えているでしょうか?
彼が、イタリアACミランへ移籍した時の記者会見で、「なぜ、このチームを選んだのか」という質問に対して、『おまえの行きたいチームはどこだ?と「リトル本田」に聞いたら、サッカーを始めたころからの夢だったセリエAのチームで、背番号10をつけたいと答えた』と、本田選手が語ったことを紹介しました。そして、この「リトル本田」というのは「もう一人の自分」であり、このように自分自身を第三者の視点で客観的に捉えることを心理学では「メタ認知」といい、とても大切なことだ、ということを皆さんにお話しました。
本日、この卒業式に臨み、それぞれが「もう一人の自分」に語り掛けて、改めて富士北稜高校での三年間を振り返ってください。数えきれないほどの多くの出来事とともに、泣き、笑い、苦しむ自分がいて、しかし、よく見ると、その時々で必ず成長している自分の姿を確認できると思います。
ところで、皆さんを待ち受ける社会は、今、過去に例がない速さと大きさで劇的な変化を続けています。アメリカの研究者キャシー・デビットソンは「二〇一一年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの六五%は、大学卒業時には今は存在していない職業に就くであろう」と唱え、世界に衝撃を与えました。事実、この日本でもロボットだけが接客するホテルが人気を博し、また、人工知能を搭載した自動運転タクシーは二〇二〇年東京オリンピックまでに導入されるとも言われています。
このような変化の激しい時代に求められる能力は「二十一世紀型スキル」と呼ばれ、どの職業にも生かすことのできる「思考力」「創造力」「コミュニケーション力」「情報リテラシー」であるといわれます。皆さんは、本校での三年間において、系列の学習で、学校行事で、更には部活動で、これらの能力と、加えてもう一つの大切な能力、それは冒頭紹介したロボットには真似することのできない、ヒトとしての「感性」を培ってきました。自信を持ってください。皆さんは間違いなく、逞しく成長しました。
改めて富士北稜高等学校 第十二期生 二四五名の皆さん卒業おめでとう。進学・就職と進む道は違っても、社会人としてこれからが人生の本番です。富士北稜高等学校で培った「二十一世紀型スキル」と「感性」、言い換えると「明日を拓き、未来を創る力」をもとに、自信を持って進んでいってください。応援しています。

平成三十年三月一日
山梨県立富士北稜高等学校
校長 渡 邉 信 介